※本記事は、有名なパワートレーニング本、”Training and Racing with a Power Meter” を元に、自転車や陸上に関するトレーニング記事が掲載されているサイト、blogなどを参考にさせていただきながら、自分なりの解釈で備忘録として記事にしたものですので、間違っている部分や、誤解している部分がある可能性があります。ご了承ください。
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最近、トレーニング記事中で、”NP” とか “L4″ とか “TSS” とかワケのわからない呪文を説明も無しに唱えているので、取り敢えず少しだけ整理してみました。とは言っても、興味の無い方にとっては呪文であることに変わりありませんがwwwすみません。
さて、先日FTP値を計測してようやくパワートレーニングの入り口に立ちました。
目的はFTP値の向上=レースでのパフォーマンス向上ですが、現状のFTP値を知ってそれを向上させるために今までのように距離や時間、心拍数の管理によるトレーニングを継続するのでは、PowerTapを買った意味がありません。
そこで今日は、パワートレーニングのメニューの組み立てを考える上で必要な項目について、備忘録的に書きたいと思います。
先ず、折角FTP値を測ったのでFTP値基準のトレーニング強度を決めます。
要は今までやってきた最大心拍数の何%の強度でメニューを行うか、ということを出力基準に置き換えるということですね。
強度の目安は、FTP=200Wとした時のTrainingPeaks WKO+の自動計算(Coggan Power Level)によって出された数値です。
強度 |
% |
出力(W) |
定義 |
L7. Neuro-muscular |
– |
– |
瞬発力トレーニング。例えばスプリントのような短時間で出力を爆発的に発生させるような能力の向上。 |
L6. Anaerobic Capacity |
121%< |
242< |
無酸素域トレーニング。無酸素状態での能力を高める。 |
L5. VO2max |
106-120% |
212-241 |
有酸素域の上限。例えば最大酸素摂取量を改善、向上させたり、乳酸耐性を高めたりするメニューに用いる。 |
L4. Threshold |
91-105% |
182-211 |
有酸素域。筋持久力、乳酸耐性を高めるトレーニングなど。 |
L3. Tempo |
76-90% |
152-181 |
テンポ走。心肺能力の向上。今までやっていたミドル走と同じと考えればよいか? |
L2. Endurance |
56-75% |
112-151 |
LSD域。脂肪燃焼、心肺能力の基礎向上など。 |
L1. Active recovery |
<55% |
<111 |
アクティブリカバリー |
これによって、先ず自分のやるべきトレーニング強度の指標ができました。
この強度を用いて、持久力なのか、瞬発力なのか、乳酸除去能力なのか、あるいは全身体的な有酸素系キャパシティを上げるのか、などトレーニングメニューを考えます。
SST
SST:SSTとはDr. Cogganが提唱するSweet Spot Trainingの略で、上記表のパワーレベルのL3とL4の境目付近(これを Sweet Spot というようです)でのトレーニングに時間をかけることにより、有酸素エネルギー産生系に効率的に負荷をかけ、FTPを増大させることができるということです。
このスポットを知るためにもFTP値の計測が必要だったワケですね。自分の場合だと180W前後ということになるでしょうか。
APとNP
さて、FTPを基準にトレーニングレベルを求めたワケですから、トレーニングをしている際のパワーが狙ったレベルに入っているかをメーターで確認しながらやります。
単純に20分LTとか今日の3分L5走とかの場合は、そのスポットを狙って漕いでいるので表示されるパワーがある程度一定に保たれている筈ですが、例えば実走で下り坂や登坂、平地、信号など様々な要素が出てくる場合は、当然出力の変動が大きくなります。
それを表すのが、AP(Average Power)とNP(Normalized Power)です。
AP:平均出力。単純なトレーニング中の平均出力です。
NP:同じ時間、同じ平均出力であっても、高強度インターバルをやった場合と一定ペース走では、当然疲労度が異なります。これを定量的にあらわすために、Dr. Cogganが考え出したアルゴリズムによって平均した数値がNPです。このアルゴリズムでは高強度側に重きを置いた計算となっているようです。出力の変動が少なければNP≒APですが、変動が大きいと高強度側重視のアルゴリズムによりNP>APとなり、変動が激しいほどNP:APの比率(VI、Variability Indexという)が大きくなります。
ちなみに、1時間全力走の数値ではほぼNP≒FTPとなるようですが、1時間のNPがFTPを大きく上回るような時はFTPが上昇したと考えられ、再テストが必要という目安になるようです。
IFとTSS
NPの意味が判ると、次はその強度でどのくらいの時間のトレーニングが必要か、ということを考える必要があります。
それを定量的に表す数値が、IFとTSSです。
IF:Intensity Factor。NPのFTPに対する割合で、NP/FTPの式で表される数値を言います。例えば僕の場合、NP150Wのトレーニングをしたとすると、FTPは200Wですから、150/200=IF0.75となります。
TSS:TSSとは Training Stress Scoreの略で、直訳的に言えばトレーニングが身体に及ぼすストレスを得点化したものです。この数値を求める計算式はTSS=(s(秒)x NP x IF)/(FTP x 3600)で、FTP値で1時間運動した場合のTSSは100となります。1時間TTが本人にとって100%のトレーニング負荷と定義付けするものなので、例えばTSSが200だったとすれば、1時間TT2本分の負荷ということになります。
この式により、異なるメニューで行った負荷を定量的に比較することができます。
今までのトレーニングでは、トレーニング量の基準として時間、あるいは距離でどのくらい乗ったかという判断を行っていましたが、そこには運動強度が正確に反映されていません。頑張っても、手を抜いてもせいぜい消費カロリーや平均心拍が目安です。
TSSを用いると、同じ時間のトレーニングでもサボった場合には一目瞭然に判ってしまうワケですw
但し、当然闇雲にTSSを稼げばいいということではなく、効率的にトレーニングを行う基準として以下のような指標も書かれています。
トレーニング本によれば、一日のTSSにおいて0~150では翌日に疲れを残さないレベル、150~300では翌日には回復、場合によって2日後には完全回復、300~450では2日後に疲れが残る、450以上で数日間疲労が残る、とされています。
・・・が、ここ数日ローラー台でやった限りでは、少なくともローラー台では150以上で毎日やれるとは到底思えませんwww
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以上、パワートレーニングを正確に理解して取り組むための用語としては他にもあるのですが、取り急ぎメニューを考える上でこれだけは必要、というものだけ書き出してみました。
メニューの組み立てまでにもし気が付いた点がありましたら、また追記します。